この記事では6月21、22日に開催されたアマゾンプライムデーについて、アマゾン全体の売り上げの観点から見ていきます。
- アマゾンジャパンのプレスリリースからみる、今年のプライムデーの盛り上がり具合
- 海外メディアがどうみたのか Amazon USのプライムデー動向
主に上記について書いています。
目次
アマゾンジャパン プライムデーに関するプレスリリース
・プライムデーまでの2週間の間に数百万人のプライム会員のお客様が中小規模の販売事業者様の商品を購入
・今年のプライムデーで、プライム会員に加入したお客様の数は過去最多
・プライム会員のお客様がお得にお買い物した商品のトップカテゴリーは日用品、飲料、ベビー用品、Amazonデバイス(中略)
中小企業が大半を占める販売事業者様にとって過去最大の売上となる2日間となりました。
https://amazon-press.jp/Top-Navi/Press-releases/Presselist/Press-release/amazon/jp/Prime/PrimeDay/2021/20210623_Release/
アマゾンジャパンのプレスリリースから引用させていただきました。
2021年度は会期中にプライム会員に加入した人数が過去最多だったとのこと。Amazon Music Unlimitedの無料体験期間が通常30日から4ヶ月間、Audibleの無料体験期間が通常1ヶ月から3ヶ月に延長されたことの影響も少なからずあるものと推測します。
ちなみにAudibleの3ヶ月無料キャンペーンは6月29日まで(その後の無料期間は30日のみ)なのでまだ登録されていない方はこの機会に登録してみてはいかがでしょうか。
次に、注目したいのが”中小企業”と言う言葉。引用した部分だけでも複数回出てきていますが、全文を読んでみるとさらに頻繁に出てきます。
アマゾンはワールドワイドで中小企業の支援に力を入れているようで、日本でも、「日本の中小企業を応援します」といったTVCMが流れているのでピンとくる方も多いのではないでしょうか。
プレスリリースによれば「中小企業が大半を占める販売事業者様にとって過去最大の売上となる2日間」であったとのことなのですが、ここで言う販売事業者とはいわゆるマーケットプレイスでの販売事業者のことを指しています。つまりマーケットプレイス=サードパーティーの売り上げは過去最高だったというわけです。
一方で、プライムデー全体で過去比較・昨年度比較でどうだったのか、と言うことについては、プレスリリース内での言及はありません。これも推測ですが、書いていないと言うことは昨年を下回る結果もしくは想定を下回る結果にとどまったということではないでしょうか。
会期中のSNSを見ていても、「プライムデーはアマゾンデバイス以外は安くない」「消耗品をまとめ買いするだけ」など消極的な書き込みも多数見かけました。日本でもおなじみになってきた感があるアマゾンプライムデーですが、利用者の目も肥えてきて、売りづらくなってきているのかもしれません。
アマゾンマーケットプレイスでの売上が過去最高だった件も...

プレスリリースの中に「中小企業が大半を占める販売事業者様にとって過去最大の売上となる2日間」とありますが、これも、調べてみるとプライムデーの盛り上がりによるものと言えないのではないかなーと言う気がしています。
こちらはアマゾンの公式から持ってきたものですが、右下に、「サードパーティーの出品者による売上は年率52%で成長しています」とあります。つまりプライムデーであろうがなかろうがサードパーティーの売り上げはオーガニックに成長しているわけです。今回のプライムデーにおいてサードパーティの売上が過去最高であったことも、必然であったと言えるのではないかと思います。
全体での売上ではなく、サードパーティーに絞って過去最高と言わざるを得なかったと邪推すると、今回のプライムデーの結果はアマゾン自身の期待値には届かないものだったのかもしれません。
アマゾンプライムデー他国ではどうだった?海外メディアの伝え方

米国のCNBCは、Bank of America曰く今年のプライムデーは昨年度と比較して成長は"soft"であった、と報道しています。
主な要因として、前回のPrimeDayから8ヶ月しか経っていないことをあげています。パンデミックの影響で通常7月に開催されるプライムデーですが、昨年は10月に延期されました。前回が前々回から15ヶ月空いたのに対して、今回は8ヶ月しか間が開かなかったことが影響した、と言うわけです。
プライムデーで最も売れる商品がアマゾンデバイスであることを考えると、確かに会期のスパンが縮まったことの影響はあるのかもしれません。前回が前々回から期間が15ヶ月空いてしまったことで需要の先ぐいがあったかもしれませんし、また、8ヶ月で新しく買い換えるようなものでもないですしね。
アマゾンジャパンでも同じような状況なのかもしれません。
消費者(特にミレニアル、Gen Z世代)の消費心理の変化もあるのでは
突然話は変わりますが、最近中国で社会問題になっているという「寝そべり族」。主に20代半ばから下の世代に多いようなのですが、生活に無気力で最低限のカネ・モノがあればいいという考え(=寝転がって過ごせれば十分ってことで寝そべり族と言うらしい)の集団を指すようです。
彼らの背景には格差の拡大、就職難に伴う貧困と言う社会問題があるようなのですが、とにかく物欲がないと言うのが特徴のようです。

程度の差こそあれ、このように、世界各国で若者がモノに執着を持たなくなっている中で、均一的なページでただモノをモノとして売るECにとっては逆風が吹いているのではないか、と思っています。
アマゾンは便利ですし、僕にとってもなくてはならない存在ですが、この先変化が求められるかもしれないですね。出店者がページをカスタマイズできる範囲が広げたりとか。楽天のページは個人的に好きではないのでもっとみやすいものでお願いしたいですが。。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。